対象のフィールドがBSON::ObjectId型の場合、Mongoidは通常、24桁の16進数形式の文字列を受け取ると自動でBSON::ObjectIdにキャストしてくれます。しかし、もし渡している文字列が何らかの理由で正しい形式になっていなかったり、余計な空白や改行、不可視文字が混入していた場合、キャストが正常に行われず、条件に合致するレコードが見つからずに空の結果が返される可能性があります。

具体的には、次の点を確認するとよいでしょう。

  1. 対象フィールドの型の確認
    • もし対象フィールドがBSON::ObjectId型の場合、渡す文字列は完全な24桁の16進数である必要があります。
    • 逆に、フィールドがString型として定義されているなら、そのままの文字列が期待されます。
  2. 渡している文字列の正確性
    • 例えば、'aaaaaaaaaaaaa' のような値が、本当に正しいID形式(24桁の16進数)になっているか、または意図した値であるか確認してください。
    • 不要な空白、改行、または不可視文字が混入していないか、strip などでチェックすると安心です。
  3. 明示的な型変換の検討
    • 対象がBSON::ObjectId型であれば、エラーが出ない場合でもキャストがうまくいっていない可能性があります。
    • その場合、明示的に変換してみると問題の切り分けができます。
      例:rubyコピーするconverted_ids = aaa[:ids].map { |id| BSON::ObjectId.from_string(id) } Model.where(:_id.in => converted_ids)
  4. Mongoidの自動キャストの挙動
    • Mongoidは自動キャストを試みるものの、必ずしも完全ではありません。特に、文字列が期待される形式と厳密に一致していなければ、キャストに失敗し、エラーは発生せずに空の結果になることがあります。

つまり、「正しい検索値のはずなのにレコードが0件」という状況は、実際には型キャストがうまく行われておらず、Mongoidが条件に一致するドキュメントを見つけられていない可能性が高いです。
この場合、上記の点をチェックして、検索値がDBに保存されている値と完全に一致しているか、そして適切な型で渡されているかを確認する必要があります。

1. 配列の内容(リテラルと同じか)を確認する

手順:

p aaa[:ids]
puts aaa[:ids].inspect

期待される結果例:

  • p aaa[:ids] の出力例 ["aaaaaaaaaaaaa", "bbbbbbbbbbb", "cccccccccc"]
  • puts aaa[:ids].inspect の出力例 ["aaaaaaaaaaaaa", "bbbbbbbbbbb", "cccccccccc"]

2. 配列のクラスを確認する

手順:

p aaa[:ids].class

期待される結果例:

Array

3. 各要素の型と内容の詳細確認

手順:

aaa[:ids].each do |id|
p id # 各要素の文字列を表示
puts "Length: #{id.length}"
puts "Encoding: #{id.encoding}"
p id.bytes # バイト配列で不可視文字などがないかチェック
end

期待される結果例:

  • 1番目の要素 "aaaaaaaaaaaaa" の場合:"aaaaaaaaaaaaa" Length: 13 Encoding: UTF-8 [97, 97, 97, 97, 97, 97, 97, 97, 97, 97, 97, 97, 97]
  • 2番目、3番目も同様に、各要素が文字列であり、余分な空白や不正なエンコーディングがないか確認できます。

4. 期待されるリテラル配列と完全一致するかを比較

手順:

expected_ids = ['aaaaaaaaaaaaa', 'bbbbbbbbbbb', 'cccccccccc']
p aaa[:ids] == expected_ids # 完全一致すれば true

期待される結果例:

true

もし false なら、要素間に余計な空白や違いがある可能性があるので、その場合は各要素を個別に比較してみてください。


5. キーの型の確認

手順:

p aaa.keys

期待される結果例:

  • もし正しくシンボルキーの場合:[:ids, :other_key, ...]
  • もし文字列キーであれば:["ids", "other_key", ...]

この場合、aaa[:ids] ではなく aaa["ids"] でアクセスするか、with_indifferent_access を利用する必要があります。


6. クエリの実行直前の変数状態の確認

手順:

binding.pry  # または byebug を利用
p aaa[:ids]

期待される結果例: コンソール上で以下のように表示される:

["aaaaaaaaaaaaa", "bbbbbbbbbbb", "cccccccccc"]

この状態で、変数 aaa[:ids] が正しい内容を保持しているか確認します。


7. Mongoidのログでクエリ内容を確認する

手順:

まず、ログレベルの設定を行います(config/environments/development.rb に追加):

Mongoid.logger.level = Logger::DEBUG
Mongo::Logger.logger.level = Logger::DEBUG

その後、問題のクエリを実行します:

parents = Model.where(:some_field.in => aaa[:ids])

期待される結果例:

ログに以下のような行が出力されるはずです:

MONGODB | 2025-02-20T12:34:56.789+09:00 | command | my_database.$cmd | { find: "collection_name", filter: { some_field: { "$in": [ "aaaaaaaaaaaaa", "bbbbbbbbbbb", "cccccccccc" ] } } }

これにより、実際に送信されているクエリの内容と、フィルター条件の配列が正しいかを確認します。


8. フィールドの型に合わせた型キャストの検討

手順: もし対象のフィールドが BSON::ObjectId 型であるなら、明示的な変換を試します:

converted_ids = aaa[:ids].map { |id| BSON::ObjectId.from_string(id.strip) }
result = Model.where(:_id.in => converted_ids)
p result

期待される結果例:

  • 正しくキャストされている場合、該当するレコードが返る(例:レコードが1件以上の配列として表示される)。
  • もし変換に失敗していた場合は、エラーが発生するか、結果が依然として空になるので、その際は渡している文字列の形式(余分な文字がないかなど)を再度確認します。

まとめ

  • で配列の中身がリテラルと同じかを pinspect を使って確認
    → 結果例:["aaaaaaaaaaaaa", "bbbbbbbbbbb", "cccccccccc"]
  • でクラスが Array であることを確認
    → 結果例:Array
  • で各要素の詳細(文字数、エンコーディング、バイト表現)を確認
    → 結果例:各要素の長さが13、エンコーディングが UTF-8、バイト配列が正しいこと
  • で期待値と完全一致するかの比較
    → 結果例:true
  • でハッシュのキーが正しいか(シンボルか文字列か)を確認
    → 結果例:[:ids, ...] または ["ids", ...]
  • でクエリ実行直前の状態を確認し、変数が意図通りか確認
    → 結果例:正しい配列の状態が確認できる
  • でMongoidのログから実際に送信されるクエリを確認し、フィルター条件が正しいか検証
    → 結果例:ログに正しい $in の条件が表示される
  • で必要に応じて明示的に型キャストして、クエリ結果が変わるか確認
    → 結果例:正しくキャストされると、該当レコードが返る

これらの手順を実行することで、正しい検索値が渡されているか、型キャストが正しく行われているか、また余分な文字などが混入していないかを詳細に検証できます。
この流れで確認すれば、クエリが期待通りの動作をするかどうかの原因をより正確に切り分けられるはずです。

対策について

まず、現状の状況を整理すると、

  • 変数aaaは次のようなハッシュになっています。aaa = { ids: ['aaaaaaaaaaaaa', 'bbbbbbbbbbb', 'cccccccccc'] }
  • aaa[:ids]は配列として正しく表示されており、各要素は文字列です。

考えられる原因と対策は以下のとおりです。

  1. 型の不一致の可能性【★この回答は確証がありません】
    • もし、Mongoidの検索で対象としているフィールドがたとえば_idなどのBSON::ObjectId型の場合、配列に入っている文字列がそのままでは型変換に失敗することがあります。
    • 対策: 対象フィールドがObjectIdなら、aaa[:ids]の各文字列をBSON::ObjectIdに変換する必要があります。例えば、
      converted_ids = aaa[:ids].map { |id| BSON::ObjectId.from_string(id) }
      Model.where(:_id.in => converted_ids)
      とすることで、正しい型で検索できます。ただし、変換する文字列が正しい24桁の16進数形式でなければなりません。
  2. フィールド名の確認
    • もし検索対象がnameなどのString型のフィールドであれば、aaa[:ids]の中身はStringなので直接使えるはずです。
    • 対策: 使用しているフィールド名が正しいか、またそのフィールドの型が配列内の値と合致しているかを再確認してください。
  3. 配列の中身の不正な値
    • たとえString型であっても、予期しない文字列(例:余分な空白や特殊文字)が入っている場合、検索条件としてマッチしないか、場合によってはエラーとなることも考えられます。
    • 対策: aaa[:ids]の各要素をstripなどで不要な空白がないか確認する、または中身をログに出力して正しい形式かどうか確認してください。

【まとめ】
エラーメッセージが具体的にどのような内容かによりますが、最も考えられるのは型の不一致です。特に、対象フィールドがObjectIdの場合は、aaa[:ids]の文字列が有効なObjectIdでないため変換に失敗している可能性があります。